大会長挨拶

第63回 日本先天異常学会学術集会 ご挨拶

大会長:吉木 淳(理化学研究所バイオリソース研究センター)

第63回日本先天異常学会学術集会の大会長を拝命いたしました理化学研究所バイオリソース研究センター・吉木淳と申します。日本先天異常学会は、1961年に設立され、医薬品や様々な環境要因および遺伝的な要因により発生する先天異常について、研究の進展とその知識の普及を図り、人類の福祉に寄与することを目的としています。このように社会的に重要な役割を担い、歴史のある日本先天異常学会の学術集会を、初めてつくば市で開催させていただくことを大変光栄に存じます。

つくばは300におよぶ研究機関が、科学・技術の研究開発に取り組んでいる世界最大級の研究学園都市です。つくばにある理化学研究所バイオリソース研究センターは最先端の研究基盤の一つとして、文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトの中核的拠点の役割を担い、21世紀のライフサイエンスの発展と人類の福祉向上に貢献することを目的として活動しています。私の担当するマウスリソース整備事業では、高次生命現象の理解ならびに人の健康増進と病気克服に資する実験動物マウスの整備とその利活用の促進を目指しています。そこで、第63回学術集会のテーマを「先天異常学研究におけるモデル動物の利活用」とさせていただきました。

日本先天異常学会は、小児科学・産婦人科学・外科学・整形外科学・眼科学・臨床遺伝学などの臨床医ならびに解剖学・病理学・薬理学・衛生学・人類遺伝学・実験動物学・生殖発生毒性学などの基礎研究者、さらに薬剤師・看護師・栄養士・遺伝カウンセラー・言語療法士などにより構成され、ゲノム解析、ゲノム編集、イメージング、バイオインフォマティクス等の先端技術を駆使して先天異常に関する諸課題に取り組んでいます。第63回となる学術集会では本学会の学際的な特徴を活かして、先天異常の生物学的理解と医療の進展に貢献する先端的技術ならびにモデル動物に焦点をあて、先天異常の発生機序の解明、予防ならびに治療法の開発に関する活発な学術交流の場を提供したいと考えています。

総会、特別講演、海外招聘講演、教育講演、シンポジウム、ランチョンセミナー、奨励賞受賞講演ならびに一般演題を含む3日間のプログラムを準備しております。一般演題はポスター発表を基本としてその中から優秀演題を選考してご講演いただく計画です。若手による「先天異常学会勉強会」のご推薦によるシンポジウムも予定しています。

基本的な感染症対策が日常となっている状況において、つくば大会は現地開催を計画しております。感染症等の状況を注視しながら、皆様をお迎えできますよう、鋭意準備を進めてまいります。学術集会事務局ならびに関係者一同、つくばで皆様にお会いできることを楽しみにしております。